日本消化器病学会・甲信越支部

第41回 日本消化器病学会甲信越支部例会
第63回 日本消化器内視鏡学会甲信越地方会
合同地方会

小腸

25. (消-12) 不全型Behcet病患者にみられた小腸潰瘍の1例
新潟県立新発田病院 内科
古塩 純、本間 照、野澤優次郎、五十嵐 聡、夏井正明、姉崎一弥、杉山幹也
症例は51歳男性。気管支喘息にて近医通院中であった。5年ほど前、口腔内アフタが口唇粘膜に多発再発したが、現在はみられていない。平成19年5月下腹部痛、両下肢冷感が出現し、CTにて腹部大動脈瘤と診断された。その後両下肢がしびれて歩行不能となり当院に緊急入院となった。精査の結果、大動脈A型解離と診断され、腋窩−両大腿動脈バイパス術、上行弓部大動脈置換術が施行された。術後、食思不振、嘔吐が続き、更に腹痛、発熱も出現、CTにてイレウスと診断、術後第10病日緊急開腹術施行。上腸間膜動脈領域に色調変化を認め腸管壊死が疑われ、小腸切除、右半結腸切除術を行った。残存小腸は120cmとなった。同時に腹部大動脈−上腸間膜動脈−脾動脈バイパス術を行った。術後も発熱、下痢が続くため腸管切除術後25日目に下部消化管内視鏡検査施行。NSAIDsは使用していなかった。残存大腸に所見はみられなかった。吻合部口側に輪状潰瘍を認め、その口側空腸には大きさ10mm前後の類円型〜不整形潰瘍が多発し、縦走配列を示す部分もみられた。潰瘍辺縁は鋭で、周囲粘膜に発赤、浮腫は目立たなかった。潰瘍底内に再生性と思われる粘膜島を伴うものもみられた。更にその口側には病変はみられなかった。切除された小腸、右半結腸の標本を見直したが回盲弁もふくめて潰瘍、びらん形成は認めなかった。その後の上部消化管内視鏡検査ではTreitz靱帯を越えて、門歯列から150cmまで挿入したが異常所見は認めなかった。入院後眼科受診し、ぶどう膜炎と診断された。結節性紅斑、毛嚢炎様皮疹、外陰部潰瘍は認めず、既往も確認できなかった。両手指PIPjointに関節痛あり。HLA-B51陰性。以上より不全型Behcet病の基準を満たす症例であった。成分栄養療法を導入し、短腸症候群に準じた治療を開始している。切除腸管に潰瘍性病変を認めなかったことから、残存空腸の潰瘍は上腸間膜動脈灌流不全後に生じたものと推定されたが、潰瘍の形態や周辺粘膜性状から虚血の関与は考えにくく、Behcet病の腸管病変の可能性が考えられた。
26. (消-13) 嚢胞状形態を呈した小腸GISTの1例
新潟県立十日町病院 外科
佐原八束、福成博幸、岡島千怜、樋上 健、設楽兼司、林 哲二
症例は77歳男性で、1か月前より下腹部痛を自覚し当科受診した。臍下部から恥骨上にかけて圧痛を伴う小児頭大の腫瘤を触知した。表面平滑、弾性軟で可動性は良好であった。CTにて嚢胞性部分主体で一部不整な充実性部分を伴う12cm大の腫瘤性病変を認めた。確定診断には至らなかったが、小腸由来の腫瘍と考え、開腹手術を施行した。腫瘍は下部小腸から発生し、小腸部分切除を伴う腫瘍摘出術を施行した。腫瘍の嚢胞内容は褐色血性であり、腫瘍の腸管壁付着部には径5cm大の充実性成分を認めた。また、腸間膜には米粒大の白色結節を多数認め、一部切除した。病理組織検査ではGastrointestinal stromal tumor of small intestine , high-grade malignancy , c-kit(+)と診断され、白色結節は腸間膜播種であった。一年後CT上腸間膜に再発を認め、メシル酸イマチニブ400mg/dayの内服を開始。副作用として嘔吐、下痢などの症状が強く出現したため、2ヶ月後からは300mg/dayへ減量したが、内服開始から約3年後に新たな再発巣が出現。増大傾向であったため化学療法によるコントロール不良と判断、手術にて大小合わせ計69ヶ所の播種巣を切除した。病理組織診断はGastrointestinal stromal tumor , myogenic type , multiple nodule , recurrent , up to 80mm in size , c-kit(+) , CD34(+) , vimentin(+) , SMA(+) , desmin(+) , S-100(-)で前回と同様な組織からなるGISTであった。その後は化学療法施行せず一年間無再発生存中である。GISTのうち、嚢胞状の形態を呈するものは比較的まれである。今回われわれは嚢胞状形態を呈した小腸GISTの一例を経験したので文献的考察を加え報告する。
27. (消-14) 回腸憩室穿孔の1例
山梨県立中央病院 外科
日向道子、羽田真朗、赤澤祥弘、白石謙介、古屋信二、古屋一茂、須貝英光、宮坂芳明、中込 博、三井照夫
今回,我々が経験した回腸憩室穿孔の1例を報告する.症例は80歳男性.重度の僧房弁閉鎖不全にて,当院で2007年5月15日僧房弁置換術を施行した.術後6日目より腹痛出現し,腹部CTで肝表面と肝十二指腸間膜に沿ってfree airを認めた.十二指腸潰瘍穿孔を強く疑ったが,心手術後であり全身状態が安定していたこともあって保存的治療を開始した.しかし翌日腹痛増悪し,腹部CTで腹水貯留,free airの増悪を認めた.上部消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,術後7日目に開腹手術を施行した.開腹所見では膿性腹水が貯留しており,腸管全体に白苔が付着していた.バウヒン弁より約20cmの回腸に穿孔を認めた.穿孔部周囲の回腸は赤色から紫色に変色しており,壁肥厚,硬結を認めた為,穿孔部を含めて12cm腸管切除し洗浄ドレナージした.摘出標本では回腸腸間膜対側に13ヶ所の憩室を認め,そのうち1ヶ所が穿孔していた.病理組織検査の結果,多発性回腸憩室と診断された.回腸憩室は消化管憩室の中では稀な疾患であり,文献的考察を加え報告する.
日本消化器病学会・甲信越支部